(今後、気が向いたときに、「自分が診断士を目指している理由」を書いていこうと思います。)
「中小企業診断士」というと、地方の小さな会社の経営立て直しをお手伝いする人、というイメージが強いと思うのですが(そして、もちろんそれは正しいと思うのですが)、
一方で、大企業に勤務しながら診断士の資格を持っている「企業内診断士」という方も多くいらっしゃるようです。
私も、もし幸運にも合格することができたら、当面は「企業内診断士」になると思います。
これは、私が診断士の資格取得を目指そうと思った理由の一つでもあるのですが、今後、大企業の組織や人間関係の中で比較的小さい規模のビジネスを多面的な観点から助言していける人材がとても重要になってくるのではないかと思っています。
先日、パナソニックさんの面白い試みが紹介されていました。
二足のわらじが優秀な人材を引きつける、パナソニックの型破り組織論 | LinkedIn
「GC(GameChanger)カタパルト」という新規サービス・新規製品の創出を行う仕組みを通じて、社内からイノベーションを興そうとしておられます。
日本は、海外のように企業の新陳代謝が活発ではなく、人材の流動性も高くありません。
こうした状況はすぐには変わらないと思いますので、大企業の体裁を保ったまま、企業内部に小さなプロジェクトを数多く発生させて、社外との繋がりの中で小さな事業を興していく試みが成長のために重要になってくると思います。
SONY さんの SAP なんかも、まさにこの成功例だと思います。
(日本企業の構造的な問題に起因するイノベーションの阻害については、
Japan Innovation Network という団体が提唱しておられる「2階建ての経営の必要性」が非常にわかりやすいです。)
ただ、私自身もこうした新規事業創出の取り組みに関わったことがありますので、その難しさは良くわかります。
当初は担当者が想いをもって始めたプロジェクトなのに、最終的に企業の利益に結びつくところまで行かず、だんだん社内の目が厳しくなって最終的には心が折れてしまう。担当者の想いが最後までポジティブに評価される例は本当に少ないです。
そもそも、社会にデプロイできるところまで行くような新規事業創出って、想いだけでたどり着けるほど甘いモノではないです。当初のお客さんの期待には何があっても応えないといけないし、土日や夜中も仕事で、家庭を犠牲にすることも多いと思います。パフォーマンスの上がらないメンバーはいくら仲が良くても切らないといけないし、自分のやりたいこととは違う市場にピボットする必要も出てくる。それでいて、やっとのこと事業を軌道に乗せたのに、気がついたら社内で重要な役職に就いているのはリスクをとらずに粛々と既存事業を進めていた人だったりします。
理由はいろいろあると思うのですが、特に最近の新規事業創出プロジェクトがうまくいかないのは、プロジェクトをサポートする関係者がビジネスのことをよくわかっていない(大企業に勤めていても財務諸表読めない人って大勢います)ことが大きな理由だと感じています。ここを打破していかないと、こうした取り組みも、単に担当者が Web メディアでろくろを回しているだけの「新規事業創出ごっこ」で終わってしまう。
日本の大企業がイノベーションを起こしていくためには、多面的な視点で企業内スタートアッププロジェクトをサポートしていける人材、すなわち企業内診断士の役割がどんどん大きくなっていくと感じています。